我が国には、民間の生命保険や共済に全く加入していなくても、一家の大黒柱に万一のことが起こった場合に、遺族がお金を受け取ることができる制度があります。
みなさんも、この制度の名前を一度くらいは耳にしたことがあるのでは?
その制度とは・・・そう、公的遺族年金です。
日本の年金制度は、原則として20歳以上60歳未満の全ての国民が加入する「国民皆年金制度」が採られており、受給できる年金には、
★老後の生活を支える『老齢年金』
★一定の障害状態になった人の生活を支える『障害年金』
★亡くなった人に生計を支えられていた遺族の生活を支える『遺族年金』
の3種類があります。
公的年金は、老後の生活を支えるだけのものではないのですね。
さて、この公的年金制度ですが、家になぞらえて“2階建て”などとよく言われます。
まずは1階部分として、全ての国民が『基礎年金』に加入し、さらにそれに上乗せする2階部分として会社員(や公務員)に対して『厚生(共済)年金』が用意されているからです。
ですから『遺族年金』についても、加入していた制度に合わせて、自営業者であった人等の遺族には『遺族基礎年金』のみが、会社員(や公務員)であった人の遺族には
『遺族基礎年金』+『遺族厚生(共済)年金』が支給されます。
(家族構成や年齢により異なります。)
そして・・・この『遺族年金』の支給額ですが、遺族の生活を完全にカバーできる額とは言い難いものの決して少ない額ではありません。
生命保険を考えるときには、つい「もしもの場合に出て行くお金」だけに気を取られてしまいがちですが、「入ってくるお金」についてもしっかりと見積もっておく必要があります。
『遺族年金』もその類ですが、これを考慮しているかどうかで保障額の設定や保険料、安心感にも大きな差が生まれることになります。
では、万一の場合に、遺族年金は“いつまで”“いくら位”受け取れるものかについてお話していきたいと思います。
1.遺族基礎年金(1階部分)
『遺族基礎年金』を受給することができるのは亡くなった人に生計を支えられていた人のうち、優先権がある順に「子のある妻」または「子」とされています。
この場合の「子」とは、18歳になった年度の3月31日までにある子、
つまり“(一般的に)高校卒業までの子”を指しますが子どもに1〜2級の障害がある場合は、20歳未満までとなります。
『遺族基礎年金』から受け取ることのできる金額(年間)は「792,100円+子の加算」の式で表され、子の加算については第1子および第2子が227,900円、第3子以降が75,900円となっています。
年金受給者と子どもの数による実際の受取額は以下の通りです。
<子の数> <年金受給者>
「子のある妻」 「子」
1人 1,020,000円 792,100円
2人 1,247,900円 1,020,000円
3人 1,323,800円 1,247,900円
4人 1,399,700円 1,323,800円
ちなみに、この数字は物価の変動に照らして毎年見直されることになっていますがここ数年は、実質的に据え置かれたままです。
ところで、先ほどさらっと流しましたが、遺族年金の受給権者は「子のある母」または「子」に限られ、「子のない妻」や「夫」には『遺族基礎年金』は支給されません。
また、亡くなった人の保険料納付済期間(含:保険料免除期間)について
「加入期間の3分の2以上あること」という条件を満たしていない場合も
『遺族基礎年金』は支給されませんので注意が必要です。
2.遺族厚生(共済)年金
『遺族厚生(共済)年金』を受給することができるのは、亡くなった人に生計を支えられていた人のうち、優先権がある順に亡くなった人の「配偶者」「子」「父母」「孫」「祖父母」です。
ただし、亡くなった人の「夫」「父母」「祖父母」については55歳以上の人のみが対象となり、60歳になるまでは年金の支給は停止されます。
支給額については『遺族基礎年金』のように受給者と扶養家族の人数によって一律ではなく、亡くなった人の納めていた保険料と加入期間によって複雑な計算が必要になります。
しかし、その計算式をご紹介してしまうと却って混乱してしまうと思いますので、ここではザックリと「生命保険を設計するために把握しておきたい遺族年金受給額の目安」を知るための式をご紹介することにしましょう。
【遺族厚生年金受給額の目安】
遺族厚生年金の受給額目安(年額)=月収(単位:万円)×1.6
つまり、
月収が30万円の方は・・・30万円×1.6=48万円
月収が50万円の方は・・・50万円×1.6=80万円
ということになります。
ただし、月収が62万円を超える方は・・・62万円×1.6=99.2万円を、1年間で受け取れる『遺族厚生年金』の額の目安にしてください。
もちろんこの数字は、実際の受給額とは多少の誤差を生じる余地のあるものです。
しかし、ここで知りたいのは、もらえる年金の額が「何万円か、何十万円か、あるいは何百万円か」という大きな方向性ですから、それには十分対応できることでしょう。
ちなみに、妻が受け取る場合の『遺族厚生年金』は、原則として再婚・離縁しない限り、一生受け取ることができます。
(ただし30歳未満の子のない妻は5年間のみ)
また、夫死亡時に「40歳以上65歳未満であった妻」「40歳時点で子のあった妻」については、『遺族基礎年金』の支給終了後から『遺族基礎年金』の額の4分の3に相当する額(現行:594,200円)が65歳になるまで加算(中高齢の寡婦加算)されます。
いかがでしょうか?
公的年金のしくみはなかなか複雑で分かりにくいかもしれませんが、
とにかく私が知っていただきたいのは「(繰り返しになりますが)意外と少なくない金額が用意されている」ということです。
せっかくの制度ですし、保険料も毎月しっかりと納めている訳ですから、ご一家の保障設計にも、ぜひ有効活用していただきたいと思います。