借入先がどこであるにせよ、貸してくれるかくれないか、あるいはいくらまで貸してくれるのかは、勤務先や年収、過去の取引実績など、その人の返済能力や信用に基づく審査を経た上で決定されるのが世の常識です。
しかしながら・・・その様な審査を行なうことなく、お金を貸してくれる金融機関があります。
あ、“ヤミ金”じゃないですよ。
もうおわかりですね。
そう、生命保険会社です。
生命保険には、将来の保険金支払いに備えて、契約毎にお金を積み立てていくシステムがあります。
このシステムによって積み立てられたお金を『責任準備金』というのですが、契約者は、この『責任準備金』のうち8〜9割程度(保険会社や商品により異なる)までの金額を、自由に借り入れることができることになっています。
これを『契約者貸付』といいます。
なぜこのようなことができるのか。
『責任準備金』は、将来の保険金支払いに備えて積み立てられたお金であると同時に、当該の保険契約を解約した場合に、契約者に返金されるものでもあります。
要するに『契約者貸付』は、保険の解約返戻金を担保にした貸し付け。
たとえ返済されなかったとしても、保険会社は保険金の支払いが発生した場合や、保険契約が解約されたときなどに、保険金や解約返戻金と相殺する形で回収することができます。
このような理由で、審査を経ない融資が可能になっているのです。
と言うか・・・『契約者貸付』は、保険会社から借りるというよりも
自分で積み立てたお金をちょいと前もって引き出す感じに近いかな!?
それでも、借金には違いありませんから、借り入れた元金に対しては、
一定の利息を支払う必要があります。
『契約者貸付』の利率については、対象となる保険契約がいつ頃なされたのかによって差があります。
『責任準備金』を運用するための利率である「予定利率」が契約の時期によって異なるからです。
『契約者貸付』の利率は、「予定利率」を少し(ざっくり1%程度)上回るように設定されています。
保険会社にとって、「予定利率」は支払う利息の基準で、貸付金利は受け取る利息の基準ですから、貸付利息の方が高くなるように設定されているのは事業として至極当然です。
ちなみに「予定利率」は、預金やローンなどといった他の金融商品同様、世の中の金利水準に連動して動いていますので、「あの頃の預金金利は高かったなぁ」という頃に契約したものは高く(平成2年4月〜5年3月は5.5%)、逆のものは低い(イマドキのものは1.5%前後)とお考えください。
借り入れできる金額は、先にもお話した通り『責任準備金』のうちの一定割合ですから、保険種類(貯蓄型か掛け捨て型かなど)や契約の継続期間によって異なります。
借り入れ可能な金額等については、契約している保険会社に直接お問い合わせください。
借り入れの手続きは、契約者貸付の申込書を提出する以外に契約者向けに各社が発行しているカードを使い、提携ATMなどから手続きできるようにしている会社も数多くあります。
一方、返済については、銀行ローンなどのように月々の返済額を決めた上で借り入れする訳ではありませんので、好きなときに好きな金額を返済すればいいと言えます。
極端な話、返済しなくても督促のようなものはありません。
まさに「あるとき払いの催促なし」です。
ただし、借入残高がある間は、その金額と期間に応じた利息が計上され続けるということは知っておきたいですね。
利息の支払いだけはたまに請求されたりもしますが、それも支払わなければ借入残高に繰り入れられます。
借金取りが家にまで押しかけてくることはありませんのでご安心くださいませ。
契約者貸付も、借金には違いありませんので、決して推奨する訳ではありませんが・・・
一時的かつ比較的少額の資金が必要になった場合などに、やたらな所から借金をしたり、解約返戻金目当てに保険を解約したりするよりははるかに賢明な選択肢になるのではないかと思います。
